家族葬や一日葬、直葬などの葬儀が終わったあと、意外と困るのが故人の銀行口座です。
「銀行にはすぐ連絡した方がいい?」
「口座が凍結される前に葬儀代を引き出した方がいい?」
「公共料金の引き落としはどうなる?」
と迷う方も多いでしょう。
結論からいうと、葬儀後はすぐにATMからお金を動かしたり、手当たり次第に銀行へ連絡したりするのではなく、まず次の3つを確認しましょう。
- 故人がどの銀行に口座を持っていたか
- その口座から何が引き落とされているか
- 遺言書の有無と相続人
そのうえで、必要な支払いを整理し、各金融機関の相続手続きへ進みます。
葬儀後の銀行口座はまず「3つの確認」から始める
葬儀が終わった直後は、市役所や年金、保険など多くの手続きが重なります。
銀行についても、最初から細かな書類を集める必要はありません。
まず全体像を把握することから始めます。
故人がどの銀行に口座を持っていたか確認する
最初に、故人名義の口座を洗い出します。
探すものは、
- 通帳
- キャッシュカード
- 銀行からの郵便物
- インターネットバンキングの記録
などです。
複数の銀行や信用金庫、ゆうちょ銀行を利用している場合もあります。
最近では紙の通帳を発行しない口座やネット銀行もあるため、通帳だけで判断しないようにしましょう。
口座から何が引き落とされているか確認する
次に確認したいのが、毎月の引き落としです。
例えば、
- 電気
- ガス
- 水道
- 携帯電話
- インターネット
- クレジットカード
- 家賃
- 保険料
- 介護施設の利用料
などがあります。
銀行へ死亡を伝え、口座の取引が制限されると、こうした口座振替もできなくなる可能性があります。
そのため、口座を止める前に「この口座から何が支払われているのか」を確認しておくことが大切です。
遺言書と相続人を確認する
銀行預金も相続財産です。
誰が預金を受け取るのかは、
- 遺言書がある
- 遺産分割協議を行う
- 家庭裁判所の調停や審判がある
など、状況によって異なります。
全国銀行協会でも、遺言書や遺産分割協議書の有無によって、銀行へ提出する書類が変わると案内しています。
まず遺言書がないか確認しておきましょう。
銀行にはいつ死亡を伝える?
「家族が亡くなったら、すぐ銀行に電話しないといけないの?」
と心配になる方もいます。
まず知っておきたいのは、死亡届を提出した瞬間にすべての銀行口座が自動的に凍結されるわけではないということです。
金融機関が口座名義人の死亡を把握した段階で、相続手続きへ移ります。
銀行が死亡を把握すると原則として取引が制限される
全国銀行協会では、口座名義人の死亡について金融機関へ申し出ると、故人の口座の預金入出金などは原則として制限されると案内しています。
いわゆる「口座凍結」と呼ばれる状態です。
これは相続人の誰かが勝手に預金を引き出すことを防ぎ、相続財産を保全するためでもあります。
だからといって連絡を先延ばしにすればよいわけではない
「だったら、しばらく銀行へ言わない方が便利なのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、故人の預金は相続財産です。
亡くなった後も本人が生きているときと同じ感覚で口座を使用し続けるのはおすすめできません。
必要な支払い状況を整理したら、金融機関へ連絡し、正式な相続手続きを確認しましょう。
死亡後に故人の口座からお金を引き出してもいい?
非常によくある疑問です。
家族であれば、
「暗証番号も知っているし、葬儀代だけ引き出しておこう」
と思うこともあるでしょう。
しかし、故人の口座にある預金は相続財産です。
暗証番号を知っていても安易に引き出さない
ATMで操作できる状態だからといって、自由に使ってよいという意味ではありません。
特に相続人が複数いる場合、
「誰がいくら引き出したのか」
「何のために使ったのか」
が後から問題になることがあります。
葬儀費用として使った場合も記録を残す
やむを得ず故人の預金から支払いを行った場合は、
- 引き出した金額
- 日付
- 使用目的
- 葬儀社の請求書
- 領収書
などを残しておくことが重要です。
後から相続人同士で確認できるようにしておきましょう。
口座が凍結されたらお金はどうなる?
口座が凍結されても、預金がなくなるわけではありません。
相続手続きを行ったうえで、相続人などへ払い戻されます。
全国銀行協会によると、一般的な預金相続は、
- 金融機関へ相続の申し出
- 必要書類の準備
- 書類の提出
- 払戻しなどの手続き
という流れで進みます。
銀行の相続手続きには何が必要?
必要書類は金融機関や相続状況によって異なります。
代表的には、
- 故人の戸籍謄本など
- 相続人の戸籍関係書類
- 印鑑証明書
- 遺言書
- 遺産分割協議書
- 金融機関所定の相続書類
などです。
全国銀行協会では、故人の死亡や相続人を確認するため、戸籍謄本・全部事項証明書などが必要になる場合があると案内しています。状況によっては、故人の出生から死亡までの連続した戸籍を求められることもあります。
ただし、必要書類は一律ではありません。
いきなり全部集めるのではなく、まず金融機関へ連絡して必要書類の一覧を確認してから取得する方が無駄がありません。
葬儀費用を払いたいときは「預貯金の仮払い制度」もある
「口座が凍結されたら、葬儀費用を払えない」
と困るケースがあります。
このような事情に対応するため、遺産分割が終わる前でも、一定の範囲で相続人が単独で預貯金の払い戻しを受けられる制度があります。
家庭裁判所を通さず金融機関で払い戻しを受ける場合は、
相続開始時の預金額 × 3分の1 × その相続人の法定相続分
が基準となり、同一金融機関から受けられる額には150万円の上限があります。
例えば、故人の預金が600万円あり、法定相続分が2分の1の相続人であれば、
600万円 × 1/3 × 1/2 = 100万円
が計算上の上限となります。
ただし、実際に必要な書類や手続きは金融機関へ確認してください。
葬儀後すぐ確認しておきたい引き落とし
銀行口座だけを考えるのではなく、故人名義で契約していたサービスも整理しておきましょう。
電気・ガス・水道
故人が一人暮らしだった場合は解約を検討します。
配偶者などが引き続き住む場合は、契約名義や引き落とし口座を変更します。
携帯電話・インターネット
解約または契約変更が必要です。
スマートフォンには銀行・証券・各種サービスの情報が残っている可能性もあるため、必要な確認を終える前に端末を処分しない方がよいでしょう。
クレジットカード
カード会社にも死亡の連絡を行います。
カード決済していた定期サービスがあれば、あわせて契約を確認しましょう。
家賃や施設利用料
亡くなる直前まで介護施設や賃貸住宅を利用していた場合、最後の請求が後から届くことがあります。
未払い金がないか確認しておきます。
故人の銀行口座が分からない場合は?
「父がどこの銀行を使っていたのか分からない」
というケースもあります。
まず自宅で、
- 通帳
- キャッシュカード
- 銀行からの封筒
- ATMの利用明細
- 源泉徴収票や年金関係書類
- スマートフォンやパソコン
などを確認しましょう。
年金の振込先も手掛かりになる
年金を受給していた場合は、年金の振込先口座が一つの手掛かりになります。
給与所得があった方なら、給与の振込先も同様です。
ネット銀行も忘れず確認する
最近では、紙の通帳が存在しない銀行口座も珍しくありません。
故人のメールなどに、
- 銀行からの通知
- ログイン通知
- 残高のお知らせ
が残っていることもあります。
ただし、ログイン情報を利用して勝手に資金を移動するのではなく、口座の存在を確認したら金融機関へ相続方法を問い合わせましょう。
家族葬・一日葬・直葬でも銀行の手続きは同じ
家族葬・一日葬・直葬のどの形式で故人を見送ったとしても、銀行預金の相続手続きそのものは変わりません。
「直葬だったから相続手続きも簡単になる」
というわけではありません。
逆に、大きな家族葬を行ったから銀行手続きが複雑になるわけでもありません。
葬儀形式と相続手続きは別のものとして考えましょう。
葬儀費用の領収書は必ず残しておく
葬儀社へ支払った費用については、
- 見積書
- 請求書
- 領収書
を保管しておきましょう。
家族葬、一日葬、直葬のいずれでも同じです。
相続人同士で費用負担を整理するときにも役立ちます。
加古川市・高砂市・稲美町・播磨町で葬儀後の手続きを進める場合
加古川市・高砂市・稲美町・播磨町で葬儀を終えた後も、銀行の相続手続きと並行して、
- 年金
- 健康保険
- 介護保険
- 不動産
- 公共料金
- クレジットカード
など、多くの手続きが続きます。
すべてを一度に終わらせようとすると大変です。
まず、
「故人名義の財産と契約を一覧にする」
ところから始めると整理しやすくなります。
銀行口座についても、口座を一つ見つけるたびに手続きを始めるのではなく、ある程度全体を把握してから進めると効率的です。
不動産や多額の金融資産がある、相続人同士で意見が分かれている、相続税が気になるといった場合には、税理士・司法書士・弁護士など、内容に応じた専門家への相談も検討しましょう。
銀行口座についてよくある質問
死亡届を出したら銀行口座は自動的に凍結されますか?
死亡届を市区町村へ提出しただけで、すべての銀行へ一斉に死亡情報が伝わり、その場で口座が凍結されるという仕組みではありません。
金融機関が名義人の死亡を把握すると、原則として取引が制限されます。
銀行への連絡に期限はありますか?
葬儀後何日以内という一律の期限を考えるより、故人の口座や引き落としを確認したうえで、早めに各金融機関へ相続手続きについて相談するのがよいでしょう。
葬儀費用を故人の預金から払えますか?
預金は相続財産なので、自己判断で引き出すより、相続人間で確認したうえで適切に手続きを進めることが大切です。
遺産分割前でも一定額を引き出せる預貯金の仮払い制度もあります。
公共料金の引き落としはどうなりますか?
口座取引が制限されると、口座振替ができなくなることがあります。
電気・ガス・水道などを引き続き利用する場合は、早めに契約者や支払方法の変更を進めましょう。
残高が少ない口座も相続手続きが必要ですか?
残高の多少にかかわらず、故人名義の預金であることに変わりはありません。
金融機関へ連絡し、必要な手続きを確認しましょう。
まとめ
葬儀後、故人の銀行口座について最初にすることは、急いで解約したり預金を引き出したりすることではありません。
まず、
- どの銀行に口座があるか
- 口座から何が引き落とされているか
- 遺言書があるか
- 相続人は誰か
- 葬儀費用など未払いの支出があるか
を整理しましょう。
その後、各金融機関へ死亡の連絡を行い、案内された必要書類をそろえて相続手続きを進めます。
特に注意したいのは、暗証番号を知っているからといって、亡くなった後も故人の口座を本人の財布のように使わないことです。
必要な支払いがある場合でも、何にいくら使ったのかを明確にし、領収書や記録を残しておくことが、後の相続トラブルを防ぐことにつながります。
家族葬・一日葬・直葬のどの形式で葬儀を行った場合でも、葬儀後には銀行だけでなく、年金、保険、不動産、各種契約などの手続きが続きます。
加古川市・高砂市・稲美町・播磨町で葬儀を終えた方も、まずは故人名義の財産と契約を一つずつ一覧にしていくところから始めてみてください。
はりま終活相談所より
死亡届を出すと銀行の口座も凍結されると思われる方が非常に多いのですが、実際のところはそうではありません。また最近では仮払い制度もありますので、ご葬儀費用の支払いに不安があっても口座から出すことも可能でございます。お金のことは些細なことでも相続トラブルに発展することがありますので、家族(相続人)間で確認をとって適切にすすめることが大切です。
この記事の監修者
播磨地域で葬祭業界に15年以上勤務。
累計900件以上の葬儀を担当。
加古川市・高砂市・稲美町・播磨町を中心に、家族葬・一日葬・一般葬・直葬まで幅広くサポートしてきました。葬儀以外にも墓じまい・お寺問題・遺品整理など幅広くサポート経験があります。はりま終活相談所では、加古川市・高砂市・稲美町・播磨町を中心に、終活や葬儀に関する情報を発信しています。
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